パエリアの米、洗わないって本当？
パエリアのレシピでよく見る「米は洗わないで」という指示。最初は驚きますよね？でも、実はこの一言こそが“本場の味”を決める大切なポイントなんです。
なぜなら、パエリアでは米をただ炊くのではなく、スープを吸わせて旨味を閉じ込めることが目的だからです。日本のご飯とは炊き方も目的もまったく違い、米は単なる主食ではなく「味を運ぶ役割」を持っています。だからこそ、米の扱い方一つで、出来上がりの風味や食感が大きく変わるのです。スペインではどの家庭でも“米は洗わない”が常識。少し意外かもしれませんが、これは伝統的な調理法に裏打ちされた理にかなったルールなのです。
結論｜パエリアの米は「洗わない」のが正解！
理由はとてもシンプルで、しかも科学的です。洗わないことで米の表面にあるデンプンが残り、スープの旨味をしっかり吸ってくれるからです。このデンプンはパエリア全体の味をまとめる“つなぎ”のような役割を果たします。反対に洗ってしまうとデンプンが落ち、味のノリが悪くなり、炊き上がりもぼやけてしまいます。また、洗った米では鍋底に香ばしいおこげ「ソカラット」ができにくくなるため、仕上がりの香りと食感が損なわれます。つまり、米を洗わないという小さな選択こそが、おいしいパエリアを作るための第一歩なのです。
洗わないパエリア米をおいしく炊くコツ
米の種類と選び方
本場スペインでは「ボンバ米」や「カルロス米」などの短粒種を使用します。これらは粒の中心まで均一に熱が通り、芯が残らずにふっくらと仕上がるのが特徴です。また、水分をたっぷり吸っても形が崩れにくく、スープや具材の旨味をしっかり閉じ込めることができます。日本では入手が難しい場合もあるため、「無洗米」や「コシヒカリ」「ゆめぴりか」などを代用して問題ありません。ポイントは“研がずにそのまま使う”こと。米を洗ってしまうとデンプンが取れてスープの吸収力が落ちるため、風味が淡白になります。もし米のぬか臭さが気になる場合は、布巾で軽く拭き取る程度で十分です。さらに、米を炒める前に常温に戻しておくと、火の通りが均一になり、仕上がりのムラを防げます。
出汁と水分量の黄金比
米1カップに対してスープ2カップが基本の目安です。ただし、具材の水分量によって微調整が必要です。魚介類やトマトを多く使う場合は、やや少なめの1.8倍程度に抑えるとベチャつきを防げます。スープは必ず熱々の状態で注ぎ、米が一気に吸収できるようにしましょう。冷たいスープを使うと温度が下がり、火加減が不安定になりやすく、結果として芯が残ることがあります。また、スープにはサフランやブイヨン、野菜の旨味を加えることで、より深い風味が生まれます。特にサフランは香りだけでなく色合いにも影響するため、少量でも欠かせない存在です。
香ばしく仕上げる火加減
オリーブオイルで米を軽く炒め、表面に薄い油膜を作ることで、粒が立ちパラッとした食感に仕上がります。この工程を省くと、スープを吸いすぎてベチャつきやすくなるため注意が必要です。炒める時間はおよそ2〜3分が目安で、米の表面が少し透き通ってきたらOK。炊くときは強火で一気に煮立たせ、その後中火〜弱火でじっくりと炊き上げます。仕上げの段階で再び強火にして、鍋底に「ソカラット（おこげ）」を作るのがポイント。焦がしすぎないよう、香ばしい香りが立った瞬間に火を止めましょう。これで香りと食感が見事に調和した、本格的なパエリアになります。
洗ってしまったときのリカバリー法
うっかり洗ってしまったら、まず米をざるに上げてできるだけしっかりと水切りを行いましょう。そのまま使うと水分が多すぎてベチャつきやすくなるため、しっかり乾かすのがポイントです。次に、オリーブオイルを多めに熱したフライパンで長めに炒め、表面がやや透き通るくらいまで水分を飛ばします。これにより余分な水気を飛ばすだけでなく、オイルの香りが米全体に広がり、風味も豊かになります。また、スープは通常より少し濃いめに調整し、味を引き締めるのがおすすめです。塩やブイヨンを少し足したり、サフランやトマトペーストを加えることで旨味の層を増やし、洗ったことで抜けがちなコクを補うことができます。
まとめ｜“洗わない米”で旨味を閉じ込めよう
パエリアをおいしく作る最大の秘訣は、米を洗わずに使うことです。洗わないことで米の表面に残るデンプンがスープをしっかり吸い込み、濃厚な旨味を閉じ込めてくれます。これだけで、家庭で作るパエリアがワンランク上の味わいに変わります。さらに、洗わない米はおこげ「ソカラット」を作りやすく、香ばしさと食感のコントラストが際立ちます。見た目にも黄金色のツヤが出て、まるでレストランの一皿のような仕上がりに。具材の風味を吸い込んだ米は一粒一粒がしっかりしており、口に入れた瞬間に旨味が広がります。次の休日は、ぜひ“洗わないパエリア”で家族や友人を驚かせてみてください。きっと、「これ本当に家で作ったの？」と驚かれるはずです。
